『完全教祖マニュアル』読破!宗教の成り立ちを面白おかしく学べる良書

『完全教祖マニュアル』を読みました。
完全にタイトル買いです。
だって、“教祖”マニュアルですよ??なんじゃそりゃって興味持っちゃいますよね。
幸運なことに、私が買ったときはキンドル版が値引きされていたので300円くらいでした。
電子書籍は値引きOKなのが、消費者的にはありがたい。(出版社勤務としては全然ありがたくないけど(笑))
さて、肝心の中身ですが、最初は「ネタかな?」と思ってそこまで期待しないようにしていたのですが、いい意味で裏切られました。
こちら「教祖のなり方」を至極論理的に分析・解説した本なのでございます。
いたって真面目なのですが、語り口は読みやすく、ときどきふざけております。
(例えば、「民衆は豚ですから仕方ありません。」とかいうフレーズがでてきたり(笑))
なので、この本は以下のような人に本当におすすめできる1冊です。
- 教祖になりたい人
- 宗教の成り立ちを学びたい人
別に教祖を目指していなくても、気軽に読めます。
ある意味、教祖というリーダー論としても読めるかもしれません。
教祖は、多くの人から敬われ崇拝される存在であり、時には民衆を導く存在です。
どうすれば教祖のように人々から尊敬されるのか、人々は何をもって人を崇拝し尊敬するのか、そういったことを学ぶ視点で読んでも楽しいと思います。
印象に残った点紹介
教祖は人々をハッピーにする存在
教祖は人をハッピーにするお仕事なのです。教祖というと、どうしてもうさんくさいイメージが付きまといますよね。人を洗脳し、お金を巻き上げ、思うようにこき使う。宗教なんかにハマってしまうと不幸になってしまう。──とんでもありません! 事実はその逆です。教祖は人をハッピーにする素敵なお仕事なのです。
確かになぁと思いました。
現代の特に日本ですと、宗教というととにかく怪しい・金にがめつい・胡散臭いというイメージがありますが、本来の起源はきっと人々を幸福にするためのものなんですよね。
じゃなきゃ今日まで連綿と続いてこないですし、聖書の発行部数もワンピース越えしないですよね。
宗教の本質は、「人々に幸福をもたらすこと」。
イエスもブッダもムハンマドも、すべての始まりはここにあったんだなぁと感じました。
しかし、現代では宗教戦争やら、派閥争いやらテロやらで宗教が原因となる争いが絶えません。
宗教というのは幸せになるための考えを示すものであり、決して他人を傷つけたり貶めたりするものじゃないんですよね。
でも、現代の宗教家(?)たちの多くは、自分の考えこそが正しいのだと証明することを目的としてしまっています。
こんな現代だからこそ、改めて「宗教が人々にもたらす意味」というものを考えねばならないと思いました。
どうすれば人々を幸せにできるのか?
「どうすれば人を日常的にハッピーにできるのか」という点について考えてみます。これを実現する一つの手段としては、「その人が良いと思うことを素直に実行させる」というものがあります。
教祖たるもの、人間に幸せをもたらせねばなりません。
ではどうすれば人間は幸せになるのか?
一つは、「その人が良いと思うことを素直に実行させる」こと、すなわち、後押し・応援・肯定を与えることなのだそうです。
人間は社会的な生き物である以上、「承認欲求」には抗えません。他人からの承認が、生存につながるからです。
つまり、他人から承認をされれば、人間は喜び幸せを感じるのです。
「どうすれば人を日常的にハッピーにできるのか」この視点は、教祖に限らず非常に大切したいですね。
家族・友人・恋人など、その人に幸せを与えてあげれば、自分の崇拝者となってくれるわけですから、自分のためにも周囲のためにも、人々を幸せにする技術を学ぶべきだと思います。
『完全教祖マニュアル』には、このほか
- 社会に反する新しい価値基準を提唱し、「負け組」の人を「勝ち組」へと変えてハッピーにする
- 現世利益を与えてハッピーにする
- 義務と信仰を与えてハッピーにする
- 喜捨させてハッピーにする
など、これまでの宗教がとってきた人々をハッピーにする作戦がいっぱいのっています。
現実で気軽に使えるもの使えないものがありますが、いずれも参考にしたいですね。
もともと幸せな人を宗教に取り込む方法
この話が個人的に目から鱗でした。
彼ら(記事作成者注:幸せな人)は困っていないから宗教に頼らないのです。ならば、彼らを困らせれば良いのです。
(中略)
キリスト教も仏教も、「お前は自覚はないかも知れんが、実は生きてるだけで困ってるんだぞ」と言っているわけです。
「困っていない人がいれば困らせればいい」
なんだか鬼畜に聞こえる戦略ですがw
でも、発想がすごいですよね。2.0感あります。
ちょっと言い換えて、「人間が認識してすらいないことを顕在化させる」としましょうか。
出版社?編集者?としてはこれ非常に大切なんですよね。
既に人々が注目しているものに関して出版してもそれはもう時すでに遅しなことが多いのです。
「人々がまだ気づいていない、しかし確実にニーズがある」ってものを発券する力が編集者には求められると私は思っているのですが、なるほど教祖様にも必要な能力だったとは(笑)
とにもかくにも、人々を魅了するためには「困っていない人がいれば困らせればいい」
→「人間が認識してすらいないことを顕在化させればいい」というわけです。
まとめ
『完全教祖マニュアル』は、教祖になるためのマニュアルという枠を超えて、ある種人心掌握術についてかかれた本ということができるかもしれません。
宗教は紀元前の時代からすたれることなく、人々の心をつかみ続けています。
その宗教の魅力は時に強すぎるあまり、異なる価値観の存在すら認めたくないという感情を人々にもたらすほどに。
宗教はなぜそこまで人の心を掴んでいるのか?その戦略と技術がつまった良書です。
たまに、他の宗教の解説が長すぎてだれるところがありましたが、『完全教祖マニュアル』というタイトルに惹かれたひとは読んでみて損はないと思います。
私ももっと読み返して「民衆の心をつかむ技術」というのを身に付けて、どこぞの教祖様のように人から愛される人間になる予定です。
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