コーピングレパートリーとは? つくり方を解説!【ストレスにつぶされないために】

ストレス!
イライラ!!
焦燥感…
不安……
こうした感情が頭を占拠し「苦しい…!!」という経験をしたこと、ありませんか?
こうした現象は、基本的にストレスを自分で処理しきれない場合に発生し、時には人の精神を蝕んでいきます。
今回は、こうした「ストレス」と「ストレスがもととなって生まれる感情」にやられないために、とれる対策「コーピングレパートリー」を解説します。
コーピングレパートリーとは?
コーピングレパートリーとは「自分にあったストレス対処法をリストアップしたもの」です。
コーピングは直訳すると、「~に対処する」といった意味ですが、心理学的な用語としての「コーピング(coping)」は、ストレスに対処するという意味で使われます。
コーピングには2種類ある
コーピングには、「認知的コーピング」「行動的コーピング」の2種類あります。
認知的コーピングとは…自分の認知を変えることで、ストレスを軽減すること
(例)「仕事で失敗した」ということがあったとします。
あなたは「自分はなんて無能なんだ。早く死にたい」という感情・思考に囚われました。
認知的コーピングでは、このような自分にダメージのある感情・思考を自覚し、別のとらえ方をすることで、ストレスを軽減します。
(自分を破滅させる思考)
自分はなんて無能なんだ。
↓
(建設的な思考)
失敗は誰でもするもの。そこから学べばいい。
一度の失敗で、自分の価値がゼロになるわけではない。
※なお、建設的な思考(認知)に変えるには、自分に一番しっくりくる(共感できる)考え方をするのがコツです。自分が共感できない思考には変化させることができません。
行動的コーピングとは…ストレスを解消する行動をとり、ストレスを軽減すること
(例)好きな音楽を聞く・お風呂にゆっくりつかる
コーピングレパートリーは、認知的コーピング・行動的コーピングの中から自分に合うものを集め、リスト化したものといえます。
コーピングレパートリーをつくるメリット
コーピングレパートリーをつくると、以下のようなメリットがあります。
メリット①ストレスにおびえる必要がなくなる
「コーピングレパートリーがある」ということは、ストレス解消法をたくさんもっているということになります。そのため、ストレスを感じても自分で対処できるという感覚が養われ、ストレスに必要以上におびえる必要がなくなります。
ストレスにおびえなくなると、
・新しいことへの挑戦
・難しいことへの挑戦
などが少しずつですが、できるようになっていきます。
メリット②ほとんどのストレスとうまく付き合える
人間が感じるストレスには、いくつかの種類があります。例えば、仕事で受けるストレス・恋愛で受けるストレスは別のものであり、仕事で受けるストレスが「カラオケに行く」ことで解消されたとしても、恋愛で受けるストレスにも効果があるかは分かりません。
しかし、「コーピングレパートリーを持っている=複数のストレス解消法を持っている」ということなので、「このストレスには、これだな」といったように、ほとんどのストレスとうまく付き合える可能性があります。
(もちろん、ストレスの強さ、その時の自分の環境などで、どれが効果があるのかは、地道に経験を積み重ねて知っていく努力は必要になりますが。)
コーピングレパートリーのつくり方
コーピングレパートリーは、紙に書き出しても、スマホ等のメモアプリにまとめても問題ありません。大事なのは、すぐに取り出せることなので、自分の生活スタイルから考えて、いつでもすぐに見返せるもので作成しましょう。
コーピングレパートリーのリストアップするのは、100個を目安に
ここは何個でもいいのですが、100個くらいあると「たくさん解決方法がある」という安心感があると思います。なお、もっと少なくても安心感があるのであれば、問題ありませんが、10個くらいだとさすがに少ないと思います。
基本的にコーピングレパートリーは、あればあるだけいいものです。
ネガティブな方法は、コーピングレパートリーに入れない
極端な例を出しますが、「痴漢をする」ということをコーピングレパートリーにいれていいのかというと、もちろんだめです。なぜなら、長期的にみて有効的ではない(というか犯罪)からです。
その行動をとることによって、自分のストレスを解消できたとしても、自分の人間関係や社会的な地位などに悪影響がある場合は、適切なコーピングとはなりません。
コーピングレパートリー日記をつける
コーピングレパートリーをつくったら、日記をつけるのがおすすめです。
- 日付
- コーピングレパートリーを使うきっかけ
- コーピングレパートリーから何を試したか
- どのくらいストレスが解消されたか
を記録し、どのストレスに対して、何を試してどのくらい効果があったのかを記録することで、より効果的にストレスと付き合っていけるようになります。
コーピングレパートリーを作るときのコツ
コーピングレパートリー=ストレスをぶっ飛してくれるものという意識を持たない
「コーピングレパートリーを作りましょう」と言われても、「そもそもコーピングのレパートリーがないから、ストレスに苦しんでいるんだよ! 作れないよ!」と思う方もいると思います。(私もかつては思っていました。)
個人的な体験をもとにいうと、正直、はじめの頃は何をやっても「ストレスがゼロ」になることはなく、「コーピングレパートリーなんて意味ないやんけ!!!」と怒り狂い、作るのをやめたことがなんどもあります。
ストレスへの対処をいままでうまくできなかった人にとって、コーピングレパートリーをつくったからといって、急に目の前が明るくなって、気分も前向きになって、無敵メンタルになるわけではありません。
最初の頃のコーピングレパートリーを使ってみたときの体感を数値で示すと、
-10点の気分 → -9点くらいになる
くらいのものです。
しかし、本当に地道にコツコツコツコツと千里の道も一歩からという思いで、はじめていくと、「あれ? なんか前よりもストレスに強くなっているかも?」みたいに感じるときがきます。
最初は、「意味あるの?」と思うことも多いかと思いますが、コツコツゆるやかに続けていきましょう。
×コーピングレパートリー=ストレスをぶっ飛ばしてくれる薬
〇コーピングレパートリー=ストレスを少しだけやわらげてくれる薬
些細な行動でもいいので、とにかくリストアップする
コーピングレパートリーは、
・コーヒーを飲む
・10回スクワットをする
・昼寝を20分する
といったように、些細な行動でもいいので、自分が少しでもスッキリすると感じる行動はすべてリストに加えて大丈夫です。
むしろ、ストレスがかかった時に、すぐにその場で手間なく実行できるものが多いほうが望ましいです。
もちろん、
・海外旅行に行く
・登山をする
・高級寿司屋に行く
といったように、実行するのにお金・時間がかかることをリストに加えることも問題ないです。確かに、コーヒーを飲むことよりも、登山や海外旅行のほうがストレス解消効果は高いでしょう。
しかし、お金・実行に時間がかかるものばかりだと、すぐにコーピングとして使用できないデメリットがあります。そのため、気軽にお金や時間をかけずとも実行できるものを、コーピングレパートリーに加えておいたほうが使いやすいです。
コーピングレパートリーの例
コーピングレパートリーを作ろうとすると、「自分って何をしたらストレス解消になるんだ?」と分からなくなる人もいると思います。
ここでは、私がやってみて効果があると感じたコーピングレパートリーの例をいくつか紹介します。
- ネガティブダストピンを行う
- なぜストレスを感じたのか自己分析をしてみる
- 瞑想を20分行う
- 紅茶を飲む
- セントジョーンズワートを飲む
- オリゴ糖を飲む
- プロテインを飲む
- 5分HIITを行う
- 好きな歌を聞いて、大声で歌う
- テトリスをする
- 好きな漫画を読む
- 自分が感動した名言を読み返す
- 日光を浴びる
- 20分散歩をする
- サウナにいく
- 猫と触れ合う
- 掃除をする
- アロマを炊いて部屋をいい匂いにする
コーピングレパートリーをつくるのに参考になる本
それでも「どのストレス解消法が自分に合っているのかわからない…」という方向けに、コーピングレパートリーづくりに参考になる書籍をいくつかご紹介します。
おすすめ本①:「超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド」
この本には、「科学的に根拠があるストレス解消法が100個」もまとめられています。
科学的に根拠があるというところがありがたい点です。
「そもそも自分のコーピングレパートリーを作るのがめんどくさい」という方は、この本を買って、気になったストレス解消法を試してみて、効果があったものに付箋を貼っていて、必要なときにこの本を取り出すというところからはじめてもいいかもしれません。
おすすめ本②:スーパーベターになろう!──ゲームの科学で作る「強く勇敢な自分」
この本は、ゲーム性を日常に取り入れて、よりよい自分を作る方法を解説した本です。
ゲーミフィケーションといって、ゲームが人を熱中させる仕組みを、現実にとりいれる方法が紹介されています。
『スーパーベターになろう!』では、コーピングレパートリーという言葉はでてきませんが、「パワーアップアイテム」という概念があります。
パワーアップアイテムとは:それを実行すると、自分の気分がよくなるなどの良い作用を及ぼすアイテム
もちろん、科学的に根拠があるものをパワーアップアイテムとして紹介しています。
翻訳書なので読みづらさはありますが、個人的に「読んでよかった」と思えた一冊なので、おすすめです。
おすすめ本③:スタンフォードのストレスを力に変える教科書
「ストレス」そのものについて、学びたい方におすすめの本です。
「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」では、タイトルのとおり「ストレスを力に変える方法」が解説されています。
具体的には、
- ストレスとは何か
- 役に立つストレスと精神を蝕むストレスはどう違うのか
- どうしたら、ストレスを成長の糧にできるのか
- ストレスを力に変えるエクササイズ
といったことが書かれています。
個人的には、
「ストレスの犠牲者」というマインド
↓
「ストレスの選択者」というマインドへ
という考えがものすごく印象に残っています。
「また自分がストレスを感じるもの=自分の価値観に気づくチャンス」という言葉も印象に残っています。ストレスを感じるというのは、「自分の望むとおりではないことが起こっている」ということであり、「自分の望む状態」に気づけるという意味です。
「ストレスを力に変えることができる」という発想がそもそも自分にはできなかったので、「ストレス=害」という考えに囚われている人(過去の自分)におすすめな本です。
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