『逆境を「アイデア」に変える企画術~崖っぷちからV字回復するための40の公式~』まとめ

2019年5月18日私の読書リスト

今回紹介する本は『逆境を「アイデア」に変える企画術~崖っぷちからV字回復するための40の公式~』です。



 

私が今回この本を手に取ったのは、新しい本の企画が全然浮かばなかったから笑

編集者って基本的には、「企画!企画!企画!」って、とにもかくにも企画を絞り出すことが命的な部分があるんです。

なぜなら、「企画を思い付かない→本が作れない→売上が下がる」という負のビジネスサイクルに陥ってしまうから。

だから、「企画をたくさん思い付く→たくさん本をつくる→売上が上がる」という良いビジネスサイクルを生み出す必要があるんです。

結論からいうと、この本を読んでよかったと思いました。
読んで「よし!企画を思い付いた!」となるわけではありませんが、本の企画以外にも、プロモーション(販促)活動をどう進めるかというヒントを一杯もらえました。

どんな本?

博報堂勤務で「ひらかたパーク」等を短期間でV字回復させた経験のある著者が、「成功する広告」に共通する公式を40個にまとめた本です。

・来場者数右肩下がりの遊園地

・受験競争に負けそうな大学
・美味しいのになぜか売れないお菓子

など、著者が実際に手掛けた経験をもとに、そこから編み出した独自の「効果のある広告を生み出す公式」をわかりやすく教えてくれます。

この本を読むと分かりますが、広告っていうのは天才のひらめきが生み出すものではなく、極めて戦略的に考えられたものなんです。

企画が全然思い付かない!

そもそも企画ってどうやって考えるものなの?
せっかく考えた企画が通らない…

という悩みを抱えている方は、一読の価値ありです。

内容構成はキャンペーン事例の解説をしながら~という感じですが、最終章の大六章に公式集というかたちで、これまでに出てきた公式が一覧でみれるという超絶親切仕様になっています。

なので、本を手元において行き詰まった時にこの本を見てみるといった、辞書的な使い方もできます。

それでは、中身紹介に入りますね。

アイデアには二種類ある

崖っぷちを逆転するアイデアとは、どういうアイデアでしょうか。それは、商品やサービスやブランドや企業の苦況をガラリと変える「結果」を出すアイデアのことです。つまり、「結果」を出すアイデアが崖っぷちを逆転するアイデアといえます。なので、「ものすごく面白くても結果が出ないアイデア」では、崖っぷちを逆転することはできません。

アイデアには二種類あります。

それは、「結果を出すアイデア」と「(ものすごく面白くても)結果が出ないアイデア」です。

要は、ただ面白い!というだけの広告はゴミ同然。(著者はそこまでは言ってないけど笑)

広告の目的は、
人々を楽しませることではなく、売上を上げること。
そこを履き違えてはいけないと著者はいいます。

結果をだすアイデアのつくり方

「結果」を出すことから逆算してアイデアを考えることが、崖っぷちを逆転するアイデアに必要であることがわかります。

まず、どういう結果がほしいのかを考える。
そこから、その結果をだすためには、どうしたらいいのか、逆算して考えていく。

このように考えることが、結果をだすアイデアを生み出すことにつながるそうです。

当たり前なような気もしますが、「企画=とにかく奇抜な発想を~」と思いがちな人には、以外と見落としがちなポイントかもしれませんね。

結果をだすアイデアを出すために持つべき意識2つ

結果をだすアイデアのためには、2つの意識が必要なんだそうです。

ひとつめは、「何のために広告をするのか、その最終目的とは?」を考える意識。

たとえば「ブランド力を高める」というのは、目的でしょうか?手段でしょうか?

正解は手段です。
ブランド力を高めて(=手段)、売上をあげること(=最終目的)が、企業活動においては大切なのです。

だから、まずなにかの企画を考える前に、最終目的をきっちりと定めておくことが非常に重要なのです。

編集者にありがちですが、「ただ面白いだけの奇抜な企画」っていうのはダメなんですね。

とかく、上から「企画!企画!企画を出せ!!」と言われまくるせいか、とにかく企画を考えることを目的化してしまいがちですので、この点肝に銘じておきたい話でした。( ̄▽ ̄;)

2つめに必要な意識が、「心の天井」を外して考える意識。

心の天井ってなに?

「無理だろう」「これはないだろうな」「前ダメだった」と心の中に自分で勝手につくってしまう限界のことです。

心に天井をつくった状態で発想しつづけると、まず、発想のレベルが下がります。そして、自由に考えていい時に、天井よりも高く発想することができなくなってしまうのです。

要は、自由な発想を阻む固定観念ですね。
一般常識・社会経験・慣習に縛られてしまうと、無難なアイデアしか生まれません。

そのため、心の天井(=固定観念)に縛られないよう常に意識することが、結果をだすアイデアにつながるそうです。

ここからは、個人的に大切だと思った公式を備忘録としてまとめますね。

個人的に大切にしたいと思った公式

①人は、心に3つのフォルダを持っている

人は何かの商品情報や広告に接した時、その商品やブランドや場所を、次の3つのフォルダに素早く仕分けています。

① 行かない/買わないフォルダ

② 行ってもいい/買ってもいいフォルダ
③ 行きたい/買いたい

確かに!ってなりました。
つい最近近所にラーメン屋ができたときのことです。ラーメンが大好きなので、広告は絶対確認します。

そのときの流れをまとめると以下のような感じです。

新しくラーメン屋ができることを知る→どんなラーメンか見る→煮干しラーメン屋だったから行かないフォルダに振り分け

煮干しラーメンが苦手なので、自動的に行かないフォルダに振り分けてました。笑

②どの商品情報を知った時に、自分の意識が変わったか、を覚えておく

アイデアを考える人は商品情報を知るにつれて、「生活者」から「商品情報初心者」、そして「セールスマン」へと立ち位置が変化します。はじめの「生活者」から「商品情報初心者」へと立ち位置が変化した際、どの情報を知ったときに心が動いたか(「買ってもいい」「行ってもいい」になったか)をメモしておきます。生活者にその情報をその順番で伝えればいい、という戦略ができあがります。

自分がどういう情報に触れたときに、行動を起こす気になったかを知る。そして、その情報を多くの人に伝えることが、人々に行動を起こさせることにつながる。

商品を開発する側になると、どうしても「生活者」という視点を忘れがちになってしまいますので、忘れないようにしたいと思いました。

③理想型企画法

「理想型企画法」とは、名前の通り「その商品やサービスやブランドがどのような理想型になったら買うか・足を運ぶか・サービスを利用するか」、という理想型を考えてみる発想法です。

(中略)

次に、考えた理想型を分解します。出てきた理想型を分解して、どんな「要素」があれば「買ってもいい」と思うのか、を発見する作業です。

とりあえず固定観念にとらわれずに、自分の理想を思い付くだけ考えてみて、その要素を分解する。

そして、その要素をどうやったら達成できるかというアイデアを考えていく。

その他

人々に行動させるツボも勉強になりました。↓

  • 数字を使う
  • 世界初、日本初などの「初モノ」アピールをする
  • メリットを2つ以上提示すると行動させやすくなる
  • 一般常識と逆の情報に接すると、その理由を確認したくなる(確認行動が生まれる)(例『ものすごく面白いのに倒産する遊園地』『ものすごくまずいのにロングセラー』など)

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回ここで紹介したのはこの本に出てきた公式のほんの一部です。

前にも書きましたが、この本は

企画が全然思い付かない!

そもそも企画の考え方がわからない!

という人には本当におすすめです。

注意したいのは、この本を読んだら企画がポンポン浮かぶようになるというわけではないということ。

どうやったら「結果のでるアイデア」を作れるのか、その方法論を学ぶことができるのが本書です。

この本の方法論を、自分の仕事にきちんと落としこんでいくことで、企画力は飛躍的にあがるでしょう。たぶん。