【書評】ちきりん『マーケット感覚を身に付けよう』
こんにちは、ぜろです。
ちきりんさんの『マーケット感覚を身に付けよう』を読みました。
ちきりん本は、『ちきりんの日記の育て方』に引き続きこれで2冊目です。(そのときの記事はこちら↓)
『マーケット感覚を身に付けよう』を読もうと思ったのは、「市場で売れる」本の企画をたてられるようになりたいと思ったから(私の仕事は編集者)。
企画をたてるだけならすごく簡単です。しかし、「売れる企画」をたてるのは、ものすごく大変なんですよね。
このご時世、本よりも楽しい娯楽なんてたくさんあります。その娯楽のなかで、本を選んでもらって、その本たちのなかでさらに選ばれる本にならないと売れない。
ほんと出版業界は厳しいです…。
さて話を戻して、ちきりんさんの『マーケット感覚を身に付けよう』、非常に興味深かったです。
やっぱり普段から思考停止せずに、物事をよく考えている人は全然視点が違いますね( ̄▽ ̄;)
これからの時代に必要なのは「マーケット感覚」
ちきりんさんはこれからの時代に必要なのが「マーケット感覚」だと言います。
では、マーケット感覚とはなんなのか?
ちきりんによるとそれは、
「売れるものに気がつく能力」
「価値を認識する能力」
のこと。
これがこれからの時代、特に大切らしいです。
私の編集という仕事には絶対必要なスキルだと思いますね。出版社に就職したい人はこの本読んで「マーケット感覚」を身に付けると、就活でも編集者になったあとにも役立つこと必至ですね。
改めて指摘されると確かに大切だ!と思うのですが、「今まできちんと物事の価値を認識できていたのか?」と問われると全然できていなかったように思います。
そもそも自分にとって何が価値あるものなのか?
ということすら、よくわかってなかったかも。スーパーで買い物をするのだって、なんとなーく欲しいとかなんとなーく高いからやめとこうみたいなレベルの感覚しかなかったかもしれない。
私たちは買い物なり、労働なり、なにかしら絶えず価値を交換し続けているわけですから、今一度自分が市場で交換しているものはなんなのか、はっきりと言語化するのは、「本当の自分」「自分の価値観」を探求するために非常に有益な行為だと思います。
「売れるものに気がつく能力」
「価値を認識する能力」
なぜマーケット感覚が大切なのか?
これからの時代にマーケット感覚が大切である理由は「世の中が市場化していくから」とのこと。
ちきりんさんによると、市場とは、
「不特定多数の買い手(需要者)と不特定多数の売り手(供給者)が、お互いのニーズを充たしてくれる相手とマッチングされ、価値を交換する場所」……この定義に当てはまるものは、すべて市場なのです。
とのこと。
ちきりんさんのいう市場とは、単純にスーパーのようなモノが売り買いされる場だけではなく、婚活・進学・就職などの場面も含まれる。なにかしらの「価値が交換される場」であればそれは市場といえるとのこと。
ちきりんさん自身は、「市場化し変化していく世の中を楽しみましょうっていうスタイル」なのですが、私は市場化するのがいいと思う反面、悲しいなと思うこともあります。
「市場化される」とは「価値あるものが選ばれる世界になる」ということです。価値のないものは淘汰されていくことになります。
例えば就活市場で価値あるものとして評価を得られればいいですが、価値のないものと評価されてしまったらどうなるのでしょうか。
「自分が価値のないものだとされたのならっ価値を身につけて成長していけばいいんだ」と、ポジティブな人や成功者はいうかもしれません。
でも私は、いったん自分が価値のないものだと評価されてしまったら、「自分が価値のないものだとされたのなら価値を身につけて成長していけばいいんだ」と思えない人ってたくさんいると思います。
単純に「自分に価値がない」と言われたら、精神病みません??(私だけ?普通の人は平気なのかな?)
私は人が行動し成長するにあたって一番大切なのは、「自己肯定感」とか「セルフコンパッション」だと思います。
価値がないとレッテルをはられたら、それらが崩壊します。
でも、資本主義というか市場化する世の中をうまく生きるには、社会的に価値ある自分にならないとダメ。
心が壊れた人は、
価値がないと言われる
↓
自己肯定感を失う
↓
努力できなくなる
↓
努力できない自分は、さらに生きている価値のない存在だと負のループに陥る
ってな感じになる。
このループを抜け出すのは、私の経験上本当に難しい。現代社会で鬱病などの精神病が増加しているのは「価値あるもの至上主義」の社会だからなのかなー?とか考えちゃいました。
マーケット感覚は人間関係を考えるうえでも役立つ
友達関係とか恋人関係とか夫婦関係を考えるうえでも、マーケット感覚って大切になるんじゃないかと思いました。
自分が友達(恋人)にあげている価値はなに?
自分が友達(恋人)に見いだしている価値ってなに?
友達(恋人)が自分に感じている価値とはなに?
人間関係もある意味「価値の交換」をしていると考えることができます。
友達も恋人も夫婦もそうですが、何らかのメリット(=価値)があるからその関係を保とうとするわけです。
逆に、どちらか一方が相手に価値を感じなくなったら「別れる」ということになります。
そういう意味でもやはり、人間関係も価値の交換であると言えるのでしょう。
ただ、人間関係を「価値があるかないか」だけで考えるのはなんとなくむなしいですね。笑
マーケット感覚の鍛え方
ちきりんさんは『マーケット感覚をみにつけよう』のなかで、「マーケット感覚は才能ではなく鍛えることができる」と言っております。
そのための訓練が五つあります。
1、プライシング能力を身につける
2、インセンティブシステムを理解する
3、市場に評価される方法を学ぶ
4、失敗と成功の関係を理解する
5、市場性の高い環境に身を置く
それぞれがどんな内容なのかは本書を読んでほしいところですが、個人的に印象に残った点については紹介します。
プライシング能力って?
「まだ市場で取引されておらず、値札もついていない「潜在的な価値」に気づくための、自分独自の価値基準を手に入れましょう。身の回りに存在する、まだ商品化されていない「何か」について、独自の基準を持って、「これには、ものすごく大きな価値がある」「これには、せいぜいこの程度の価値しかない」と言えるようにならないと、マーケット感覚が身についたとは言えません。
プライシング能力は、自分独自の価値観によって価値あるものに値段をつけることです。
自分だったらここまでは払うな
いやこれは高すぎだな
など、自分の価値観にそってプライシング(値付け)を行うことがキモです。
ちきりんさんは、プライシング能力っていっていますが、私は「自分独自の価値判断基準をもつこと」という言葉がめちゃくちゃ大切だなと思いました。
市場化されていく社会って、ようは様々な価値が満ちあふれている社会なんです。価値観が多様化されている社会なんです。
そんな世の中にいると、「自分」ってものがわからなくなる。
自分が本当に大切にしていることは何か?
自分にとって本当に価値あるものはなんなのか?
他人の価値観にふりまわされていないか?
こういった不安が常に心のなかにあるわけです。それは自分のなかに確固たる価値というものをもっていないからです。
逆に、自分のなかに独自の価値基準があれば、それらに振り回されることなく、市場化した社会を生きることができるようになります。
というか市場化した社会で生きるためには、絶対に必須でしょうね。じゃないと、社会や周囲に振り回されて自分というものを見失ってしまいます。
「プライシング能力=自分独自の価値基準をもつこと」
大切にしたいと改めて思いました。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません